脂肪萎縮症について
こんな症状が出たら要注意
監修:中尾一和先生
京都大学名誉教授
京都大学医学研究科 メディカルイノベーションセンター
京都大学名誉教授
京都大学医学研究科 メディカルイノベーションセンター
全身性脂肪萎縮症は、原因不明の「やせ」と糖尿病、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、脂肪肝などの合併症の発症やその兆候があらわれている場合に疑われます。
部分性脂肪萎縮症は、四肢の左右対称性の「やせ(脂肪萎縮)」と体幹部の肥満を伴うこともあります。小児期のみならず、多くは中年期以後(特に女性)に診断されます。男性患者は体型より発見され難いことが知られています。
原因不明の「やせ」
- 全身または部分的にやせており、やせを引き起こす原因が思い当たらない
- 食欲は一般的に亢進することが多い
- 部分的にやせて、残りは肥満していることがある
- 手足が極端に細いのに、体幹部(顔、首、背中、お腹などの胴体部分)は太っていることがある
- 皮ふに、原因不明のくぼみ(皮下脂肪の減少あるいは欠落)がある
合併症
- 大人では健康診断等で、高血糖、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、脂肪肝を指摘されている
- 小児ではインスリン抵抗性でも糖尿病が発症していないことがある
- 糖尿病、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、脂肪肝の治療を受けている場合が多い
その他
脂肪萎縮症では、やせと上記の合併症に加え、次のような症状も報告されています。
- 皮ふにひきつれや、黒い斑点(黒色表皮種)がある
- 指や手首、足首などの関節が痛い、曲げ伸ばししにくい
- 目のおちくぼみやかぎ鼻といった顔つきになっている
また、女性の患者さんには以下の症状も報告されています。
- 生理不順、無月経
- 多毛症(口のまわりやあごひげ、胸毛が生えてきたり全身が毛深くなる等)