脂肪萎縮症について

脂肪萎縮症の治療

監修:中尾一和先生
京都大学名誉教授
京都大学医学研究科 メディカルイノベーションセンター

現在のところ、少なくなった、あるいはほとんどなくなってしまった脂肪組織を元に戻す治療法はありません。

脂肪萎縮症により起こる糖尿病、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、脂肪肝などの病気を改善させるための治療が中心となります。

脂肪萎縮症においては、脂肪組織から分泌されるレプチンなどのアディポカインの減少(絶対的レプチン不足と相対的レプチン不足)とそれによる糖や脂質の代謝が悪くなることが知られています。

近年、脂肪萎縮症のために脂肪組織からの分泌が減少したレプチンを補充する治療法の有効性が明らかにされています。減少したレプチンを、レプチンと同じ作⽤を持つ薬(レプチン製剤)で補充することによって、脂肪萎縮症における糖代謝と脂質代謝が改善されます。全身性脂肪萎縮症は小児期にインスリン抵抗性糖尿病、高トリグリセリド(中性脂肪)血症、脂肪肝を発症しますが、レプチン補充治療により糖脂質の代謝異常を長期にコントロールできることが報告されてきています(Brush M et al., J Clin Endocrinol Metab. 2024 May 17:dgae335.)。今後更にレプチン補充治療の糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝の発症抑制効果は延長すると期待されます。

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